珠洲から東日本大震災の現地視察 ~気仙沼編~
3月26日~28日にかけて須須神社の神主、多田千鶴さんと東日本大震災の被災地へ復興視察に行ってきました。13年前の教訓をもう一度インプットしていき、そのプロセス、現状どのような工夫をして復興していったのか。今回の視察は気仙沼、南三陸、大船渡の役場職員に案内してもらい、非常に丁寧な対応をしていただきました。
視察の最初は気仙沼です。この写真は湾の商業施設から撮影していますが、非常に高い位置に商業施設があって、このゲートは津波がくると閉まる仕組みになっています。もちろん居住地域にはできないのですが、こうやって津波に対する対策ができています。しっかり海が見えるような景観を残して、災害に対する機能的な防御をする仕組みがあるんですね。街並みも非常にgoodでした。
この施設は商業施設の中にあって、ワーキングスペースだったり会議をしたりするようなところで、民間の会社が指定管理をもらってやっています。今回、視察をした行政全てに言えることですが、
「行政と民間の連携が半端じゃない」というのが率直な感想。なんでもかんでも行政の問題ではないし、きっぱり民間と行政を分けているわけでもない。行政と民間が結託して共存して支え合って、よく話し合いをしている。まあ色んな課題はあるとしても真剣に街のことを考えている。ハード面は行政が行うことが多いが、ソフト面は民間がかなり請け負っていましたね。
内湾にある商業施設は平日にもかかわらず人が結構いました。カフェは満席!!ほかにも商店街があったようなのですが時間の関係上いけませんでした(´;ω;`)ウゥゥ 本当にいい街だなって思いましたね。
気仙沼の人口は震災前は7.4万人で、現在は5.7万人です。自然減の人口減少は仕方のないことですが、あの壊滅的な震災から本当によくここまで復興したものです。役場の方も言っていましたが、街の住民が全員でがんばってきた結果なのでしょうね。
今回、気仙沼ですごい衝撃だったのは、住民と行政の動くその速度です。震災から2カ月で仕事を始めてしまっている人もいて、街づくり会議という民間と行政を混ぜた組織も3カ月で発足しています。これ相当速いですよね。本当に何にもなくなってしまったところからこの速度感っていうのは、復興に対する想いをよく表していますし、マンパワーの偉大さに感服です。
これが噂の防潮堤です。比較のために多田さんに立ってもらいましたww このエリアは居住不可ですが、工場などがたくさん並んでいる地域です。こんな高さのものが居住地域にあったら監獄みたいになってしまって観光業なんかはできなくなりそうですが、今回視察したところは全て居住エリアと産業を担うエリアをきっちり分けていますので、この辺は景観がどうというより産業、つまり生業をするエリアといったところです。このブログでも何度も言っていますが、産業がなくては人は生活できません。この辺の考え方は視察に行ったどの地域も同じ考えですね。
これは日本屈指の造船所です。日本中の船がここに来ます。もちろん北陸地方からも気仙沼にきます。この造船所は震災前に5つあった会社が一つになって運営をしているみたいですね。色んな背景があるとは思いますが、こういった「共同体」が復興には不可欠です。運営や経営、予算、立地などを考えるとこういった共同体の方が利点が増えることは間違いないですし、本当によく考えられているなといった印象を受けました。この考え方は能登半島でも採用してほしいところです。ここの水産は日本の最先端といっていいでしょう。製氷の技術なんかは世界屈指の技術です。珠洲で考えた場合、どのくらいの規模になるかは分かりませんが、技術的な面は規模に関係なくできる部分です。震災をバネに能登半島も頑張ってほしいですね。
震災によって行政と民間の「風通り良さ」を感じることができました。これは住宅の話を聞いているときのことだったんですが、 「復興住宅を普通に市営住宅のように使ってます」 って話を聞いた時ですね。本来、復興住宅は被災者のための住宅みたいな話なので、まあスカスカになっていくわけです。飯舘村もスカスカです。しかし、風通りの良さがあるためか、公共施設や行政の管轄のものでも民間に有効活用をする動きが非常に速いんですよね。高齢者が固まって生活していると管理もしやすいですし、隣がいるというのは安心できます。 おそらくなんですが、この風通りの良さっていうのは、これからの地方の課題解決の第一歩なのではないかなって思います。有効活用とか行政だけが主導するとかいろんな要因で規則ができますが、規則にも柔軟性を持たせていくことで有効活用ができていくんだと思いますね。規則があるからダメじゃなくて、こういう規則に変更していこうみたいにしていった方がいいんじゃないですかね。いや、こんなこと言っちゃマズいかもしれませんが、震災の視察で感じたのは、行政と民間で「普通に会話」が成り立っているということなんですよね。こんな感じにしない?みたいな(笑) 実際に住民が行政と話をしているのを聞いたわけではないんですが、そんな印象なんですよね。規則が王命のような感じじゃなくて、規則は考え方ですみたいな。もしかすると「風通りの良さ」はこういった感じなのかなって思いました。
次は南三陸町の視察編です
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